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ドクターイエローは、走りながら何を測っているの?

答えドクターイエローは東海道・山陽新幹線を走りながら、レールのゆがみ(軌道)、架線などの電気設備、ATC信号、列車無線の受信状態を調べます。JR西日本によると、頻度は約10日に一度です。JR東海は2025年10月16日に、ドクターイエローの検測機能をすべて営業車の検測で置き換えられるようになったと発表しています。[1][2][3]

なぜ走りながら測るのか

東海道新幹線では、軌道(線路)や架線といった地上の設備を健全な状態に保つために、ドクターイエローによる計測や、社員が歩いて行う巡回などで検査していると、JR東海は説明しています。ドクターイエローは検測専用の車両で、検査には労力がかかる、というのがJR東海の課題の説明です。[3]

JR東海は2019年8月7日の発表でも、計測専用の車両であるドクターイエローで定期的に軌道や電気設備を計測し、計画的に保守作業を行うことで、日々の安全・安定輸送を確保していると書いています。測った結果は、どこを、いつ直すかを決める材料になります。[4]

軌道:レールの形をレーザーで測る

軌道の検測では、床下に通したレーザー光を基準線にして、その基準線からレールまでの距離を測り、軌道の形を計算します。JR東海の2025年10月16日の発表によると、ドクターイエローは2つの台車を使い、レーザー光を通すために4号車のデッキ部の床面を12cm底上げして、センサを載せています。[3]

JR東日本の解説記事も、新幹線の軌道変位の検測は、検測車の編成に組み込まれた軌道検測車が受け持つと説明しています。軌道の検測が編成の中の専用の車両・部屋で行われる、という点は、JR東海とJR東日本で共通しています。[5]

電気設備:架線(トロリ線)の状態

ドクターイエローは、集電用とは別に、測定専用のパンタグラフを持っています。このパンタグラフに複数のセンサを載せ、パンタグラフに対してトロリ線から上下・前後に働く力を測って、トロリ線の異常の予兆を見つけます。さらに、センサで架線金具の取付状態も調べます。[3]

トロリ線の摩耗や高さも、ドクターイエローの検測項目でした。JR東海の2019年8月7日の発表は、ドクターイエローが10日ごとに計測し、トロリ線の最大摩耗箇所の太さ(直径)は新品のときが15.5ミリで、12.5ミリで交換すると説明しています。この発表では、ドクターイエローが教えた地点の情報をもとに、作業員が月に1回、夜間に至近距離でトロリ線を測っていたとも書かれています。[4]

ドクターイエロー(923形T5編成)2号車のパンタグラフ(2024年6月2日撮影)
ドクターイエロー(923形T5編成)2号車のパンタグラフ(2024年6月2日撮影)。写真:Santetsu/CC BY 4.0/Wikimedia Commons(改変:トリミング・縮小)

信号と列車無線

信号と通信の検測は、JR西日本の特設ページによると、ATC信号と列車無線の受信状態を調べるものです。JR東海の2025年10月16日の発表の一覧では、「レールに流れるATC信号の受信レベルなど」と「列車無線の通信状態など」が、ドクターイエローでの検測の項目に入っています。[1][3]

営業車の側では、JR東海が2019年8月7日の発表で、レールに流れるATC信号と、電車からレールを通って変電所へ戻る電流(帰線電流)を測り、データを定期的に保守の現場へ送るシステムを紹介しています。異常の予兆を早く見つけて、信号設備や軌道回路の保守につなげるねらいです。[4]

列車無線については、JR東海は、ミリ波列車無線の運用が2027年1月に始まるのに伴い、測定そのものが不要になると、一覧の備考に書いています。[3]

どのくらいの頻度で、どこを走るのか

JR東海は、約10日に一度、営業線を走りながら電気設備や軌道設備などの状態をチェックしていたと説明しています。JR西日本の特設ページも、10日に1回程度、東海道・山陽新幹線の全線を走ると書いています。T4編成とT5編成が交互に走って、東京駅〜博多駅間をカバーしてきました。[6][1]

最高速度は、JR西日本の特設ページがT5編成について270km/hと記しています。[1]

営業車での検測は、頻度がまったく違います。2019年8月7日の発表では、N700Sの営業車に載せたシステムでトロリ線の摩耗などを毎日計測する計画が示されています。JR東海は2025年10月16日の発表でも、営業車の検測によって、ドクターイエローでの検測と比べて検査の頻度が上がり、東海道新幹線の安全性をさらに高められると説明しています。[4][3]

目で見る点検は、どうなるのか

ドクターイエローの検測のほかに、社員が目で見て行う点検もあります。JR東海の発表の一覧には、軌道材料の状態、電車線設備の異常、電車線や電柱の支障物(樹木の接近や鳥の巣など)が「目視等による点検」として載っています。支障物は、現状では全線にわたって、徒歩で線路の中を巡回して確かめています。[3]

これを、営業車の運転台に付けたカメラの画像から、画像処理とAIで自動的に見つけるのが、先頭車画像装置です。JR東海はこれを、高速で走る営業車に載せる国内初の装置と位置づけています。[3]

一覧表:何を、どの方法で測るのか

下の表は、JR東海が2025年10月16日の発表で示した「営業車検測の全体像」の一覧を、読みやすく並べ直したものです。[3]

検査項目今の検査の方法営業車検測の予定・現状
軌道の形状ドクターイエロー2027年以降に営業車検測(今回発表の技術)
トロリ線に作用する力などドクターイエロー2027年以降に営業車検測(今回発表の技術)
トロリ線の摩耗状態・高さなどドクターイエロー導入済み
レールに流れるATC信号の受信レベルなどドクターイエロー導入済み
列車無線の通信状態などドクターイエローミリ波列車無線の運用開始(2027年1月)に伴い測定が不要になる
軌道材料の状態目視等による点検2027年以降に営業車検測
電車線設備の異常目視等による点検2027年以降に営業車検測
電車線や電柱の支障物目視等による点検2027年以降に営業車検測(今回発表の技術)

出典[3]

関連するページ

出典

  1. JR西日本「The Last Run 2027」特設ページ「ワタシたちの解体新書 ドクターイエロー」(2026年11月5日に確認)(2026年11月5日に確認)
  2. JR西日本 ニュースリリース「500系新幹線&「ドクターイエロー」T5編成の引退について」(2026年6月22日・PDF)(2026年10月27日に確認)
  3. JR東海「東海道新幹線 新しい営業車検測技術の開発について」(2025年10月16日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  4. JR東海「東海道新幹線 N700S営業車による地上設備計測の実施について」(2019年8月7日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  5. JR東日本「【JR東日本で活躍】ドクターイエローと「East i(イーストアイ)」を解説!」(JR東日本メディア)(2026年11月5日に確認)
  6. JR東海 ニュースリリース「リニア・鉄道館 ドクターイエロー(T4編成)の車両展示について」(2025年1月15日・PDF)(2026年10月27日に確認)