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ドクターイエローの在来線版はある? ドクター東海・DEC741・East iを比べる

答え在来線にも、線路・架線・信号の状態を走りながら調べる検測専用の車両があります。JR東海はキヤ95系「ドクター東海」2編成、JR西日本は総合検測車DEC741、JR東日本はE491系のEast i-EとキヤE193系のEast i-Dを使っています。運行日時は、この記事で開いた公式ページには載っていませんでした。[1][2][3]

在来線にも「お医者さん」の車両がある

ドクターイエローは、東海道・山陽新幹線の線路や架線、信号電流を営業列車と同じ速度で走りながら調べる車両です。JR西日本の「はたらくくるま」のページも、新幹線区間で線路のゆがみ具合や架線の状態、信号電流の状況などを、営業車両と同じ速度や条件で走りながら検測し、軌道や電気設備、信号設備を検査する車両だと説明しています。在来線にも、同じ働きを受け持つ専用の車両が、会社ごとに用意されています。[4]

鉄道に関する技術上の基準を定める省令は、鉄道の車両のうち「特殊車」を、除雪車、軌道試験車、電気試験車、事故救援車そのほか特殊な構造や設備を持つものと定義しています。線路の状態を調べる軌道試験車や、電気設備を調べる電気試験車は、制度の上でもこの特殊車の仲間として位置づけられています。[5]

JR東海:キヤ95系「ドクター東海」

JR東海は、在来線で線路・電力・信号通信設備の検測専用の車両「ドクター東海」を2編成(ドクター東海Ⅰ、Ⅱ)導入し、設備の状態を定期的に検測していると、2015年9月9日の発表で説明しています。同じ発表には、快速「みえ」などと同じ形式のキハ75系気動車をベースにした1編成3両で、最高速度は時速120キロメートルとあります。2026年3月13日の発表は、この車両を、在来線の安全・安定輸送を支える「在来線のお医者さん」で、キヤ95系の「ドクター東海」と紹介しています。[1][6]

2015年の発表が挙げる主な検測の対象は、線路設備では軌道狂いやレールの締結状態、電力設備ではパンタグラフや電車線設備の状態、信号通信設備ではレールに流れる信号電流や無線設備の状態です。検測装置の更新では、線路設備の状態を、従来のカメラ画像を使った方法から、二次元レーザを使ったセンサで形状を直接測る方法に変える計画でした。これで、レール締結ボルトの緩みの測定精度が、従来の1ミリ単位から0.1ミリ単位に上がり、ボルトの緩みを見つけるための付属部品(ボルトキャップ)が不要になる、と説明されています。[1]

電力設備の監視では、パンタグラフの監視カメラ1台に加えて電車線金具監視カメラを3台新設して計4台とし、運転台の沿線状況監視カメラは高画質のものに取り替えて、沿線の設備や樹木の状況をより的確に把握できるようにする、という内容でした。使い始めの時期は、ドクター東海Ⅱが2016年度初、ドクター東海Ⅰが2017年度初の予定で、設備投資額は概算で約24億円とされていました。いずれも2015年の発表時点の計画です。[1]

2026年3月13日の発表には、「ドクター東海」の運転士時刻表をデザインしたノートの例として、飯田線の豊橋から中部天竜まで、東海道線の豊橋から名古屋まで、中央線の塩尻から名古屋までを走る3本の列車が挙がっています。ドクター東海が走る線区の一端が、ここから分かります。[6]

JR西日本:総合検測車DEC741

JR西日本は2021年10月27日の発表で、JR西日本や他社のエリアの在来線の架線検測を担ってきた電気検測用交直流電車(クモヤ443系)の置き換え用として、総合検測車DEC741を導入すると発表しました。2両で1編成、2021年11月に完成する予定で、DEC700と同じ走行システムを採用し、非電化区間も含めてJR西日本管内の在来線のすべての線区を走れる仕様とされています。[2]

走る範囲は他社の線区にも広がります。同じ発表は、JR四国、JR九州、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道、えちごトキめき鉄道、肥薩おれんじ鉄道、WILLER TRAINSの線区も走る、としています。つまりDEC741は、持ち主であるJR西日本の線区だけでなく、ほかの会社の線区の検測も引き受ける車両です。[2]

新たに載せた装置は二つあります。電気設備撮像装置は、屋根上と側方に50台の特殊なカメラを置き、電柱・信号機・がいしなど約100種類の設備を広い範囲で撮影できます。沿線環境に配慮した特殊な照明を使い、トンネルの中や夜間でも使えるとされています。電気設備測定装置は、架線まわりに4台のカメラを置き、従来の架線検測装置では測れなかった架線同士の高低差や離れを測れます。[2]

撮った画像は、地上に置いたAI画像解析装置が検査の対象を取り出して良否を判定します。JR西日本は、現地での目視検査を減らすことで重大労災(触車・感電・墜落)のリスクを下げ、ほかの取り組みとあわせて、2030年までに鉄道設備の検査業務の約1割の削減を目指す、と述べています。車両の導入に続いて、2022年4月頃から従来の架線検測装置の使用を始め、電気設備の地上検査の車上化は2025年度から目指す、という計画でした。[2]

JR西日本の技術情報誌「技術の泉」No.47(2022年)は、国鉄から引き継いだ電気検測車クモヤ443が老朽取り替えの時期を迎えたため、2022年度からの検測運用の開始を目指してDEC741を開発した、と書いています。非電化区間も自走できるよう電気式気動車にし、車体は青色をベースにして前面と側面に黄色い帯を入れた、という説明があります。気動車ですが、検測用のパンタグラフを載せるため、屋根上を絶縁しているとのことです。[7]

2024年9月18日の発表によれば、JR西日本は2024年8月から、DEC741に装置を載せた線路設備診断システムを電化区間で使い始めました。走りながら線路設備を測り、見つけた不具合を現場の区所に知らせる仕組みで、これにより、ロングレール構造の区間では、徒歩による巡視の回数を運用前の半分に見直したとされています。京都鉄道博物館は、DEC741を2024年12月27日から2025年1月3日まで特別展示する、と案内しています。[8][9]

JR東日本:East i-E とEast i-D

JR東日本の情報サイトの記事(更新日は2025年1月29日)は、在来線版のドクターイエローとして、E491系電車の「East i-E(イーストアイ・ダッシュイー)」とキヤE193系気動車の「East i-D(イーストアイ・ダッシュディー)」を紹介しています。East i-Eは電化区間を走れるよう、交直流電車の3両編成として導入され、電界強度や前方の画像データの測定などを行う、とあります。East i-Dは、JR東日本エリアの非電化区間の検測のほか、私鉄や第三セクターの検測も担当しています。[3]

同じ記事は、これらの「East i」はJR東日本エリアの各線区で不定期に検測を行っていて、運行のダイヤは公表されていない、と説明しています。編成の両数や測定の細かい項目など、East i-Dについて記事に書かれていない点は、ここでも載せません。[3]

4つの在来線検測車を並べる

次の表は、ここまでに公式の発表や公式サイトの記事で確かめた内容を並べたものです。空欄にしている項目は、確かめられなかったことを意味します。[1][2][3]

車両会社形式・編成主な検測の対象(公式の記載)
ドクター東海JR東海キヤ95系・2編成(各3両、キハ75系ベース)線路・電力・信号通信設備
総合検測車JR西日本DEC741・1編成(2両)架線、電気設備の画像、線路設備(診断システム)
East i-EJR東日本E491系・交直流3両編成電界強度、前方の画像データなど
East i-DJR東日本キヤE193系・気動車非電化区間、私鉄・第三セクターの検測

出典[1][2][8][3]

JR西日本が進める「車両による地上設備検査」

JR西日本の技術のページ「車両による地上設備検査」は、いま検査者の目視などで行っている検査を、センシング機器を使った車両搭載型の装置で行い、画像処理技術などで設備の状態を判断するシステムの構築を目指して開発を進めている、と説明しています。走行試験とデータ分析の結果、一定の検査項目については実用に耐えうる精度であることを確認し、これからは、各種の地上設備検査に使えるかどうかを検討する、としています。[10]

新幹線では、ドクターイエローの検測を営業車の検測に移す計画をJR東海が発表しています(詳しくは「東海道・山陽新幹線の保守の仕組みと検測」のページ)。在来線の検測車について、同じような移行を示した記載は、この記事で開いた公式ページには見つかりませんでした。[10][11]

見たい・撮りたいときに知っておきたいこと

この記事で開いたJR東海・JR西日本のページに、在来線の検測車が走る日時を示した記載はありませんでした。JR東日本の記事は、運行のダイヤを公表していないと書いています。そのため、日時の予想は載せません。駅で見かけた場合は、ホームの黄色い点字ブロックの内側から眺め、列車や他のお客様に近づかないようにしてください。[3][1][2]

なお、JR西日本の在来線検測車としては「キヤ141系」の名前もよく知られていますが、この記事で開いたJR西日本の公式ページでは名前を確かめられなかったため、取り上げていません。公式ページで確かめられた現行の総合検測車はDEC741です。[2][4]

関連するページ

出典

  1. JR東海「「ドクター東海」の検測装置取替に伴う機能向上について」(2015年9月9日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  2. JR西日本「総合検測車導入による検査の車上化」(2021年10月27日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  3. JR東日本「【JR東日本で活躍】ドクターイエローと「East i(イーストアイ)」を解説!」(JR東日本メディア)(2026年11月5日に確認)
  4. JR西日本「はたらくくるま」(2026年11月5日に確認)
  5. e-Gov法令検索「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成十三年国土交通省令第百五十一号)」(2026年11月5日に確認)
  6. JR東海・瑞起「ドクターイエロー(T4編成)公式ワイヤレスイヤホン製作 クラウドファンディング返礼品追加のお知らせ」(2026年3月13日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  7. JR西日本 技術情報誌「技術の泉」No.47「総合検測車(DEC741)の開発」(2022年・PDF)(2026年11月5日に確認)
  8. JR西日本「保守メンテナンス手法の変革の取り組みについて ~線路設備診断システムの運用開始(在来線)~」(2024年9月18日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  9. 京都鉄道博物館「「DEC741」特別展示のおしらせ」(2024年12月6日・PDF)(2026年11月5日に確認)
  10. JR西日本「車両による地上設備検査」(2026年11月5日に確認)
  11. JR東海「東海道新幹線 新しい営業車検測技術の開発について」(2025年10月16日・PDF)(2026年11月5日に確認)